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November 05, 2006

「泣きながら生きて」

日本で暮らす、ある中国人男性を追ったドキュメンタリー。すごーく胸に感じるものがあったのでひさしぶりに書いてみます。

「文化大革命」で勉強する機会も時間もない青春時代を過ごした丁さん。日本語学校のパンフレットを目にした彼は、日本で働きながら学び、日本の大学に入って家族を呼び寄せる夢を抱きます。

35歳。大借金をして日本に来たものの、学校は北海道の僻地。働く場もなく、借金を返す術もない。夢破れた丁さんは東京へ出てレストランや工場を掛け持ちしながら働き、今度は一人娘を海外の大学に入学させる夢を持ちます。

切り詰めた生活。終電が終わった深夜に帰宅し、お風呂もない狭いアパートでビニール袋にお湯を貯めて入浴。稼いだお金は上海の家族に送金。ビザのない不法就労者になってしまった彼は、一度帰国するともう日本には戻れない。だから中国に一時帰国することもできません。家族は何年も離ればなれになりながら、両親は慎ましく暮らしてお金を貯め、娘は勉強して一流大学を目指す。苦しい日々が続くのでした。

私が泣いたのは、その娘さんがアメリカに留学することになり、トランジットで日本に24時間立ち寄ったシーン。小学生のときに別れて18歳でようやく会えたお父さん。娘よりも小さくなってしまった父親が「あなたよりも力があるから」と娘のスーツケースを運ぶ姿。私の父も、帰省して会うたびに縮んでいくような気がするので、それが重なったのかも。

で、ひさしぶりに娘に会って照れくさいんだと思う、丁さんは娘に「白髪があるね」「アメリカに行ったらダイエットしなくちゃね」とデリカシーのないことを言ってしまい、なんだか二人の間に微妙な空気が流れるところも、とてもとてもリアル。

アメリカに行ったら大変なこともあるだろうけど頑張れ、と丁さんは娘に言います。「人は誰でも歯を食いしばりながら生きていくんだよ」。この人が言うからこそ、この言葉が重いんです。うっとなりました。

数年後、娘はアメリカで医師になる資格を得て、ようやく丁さんは中国に戻ることに。娘のためにたくさんの犠牲を払った親と、親の重い期待に応えた娘。一番良い形で結実したけれど、誰かが病気で倒れたり、娘が他の夢を持ったりしたらどうなったんだろう。自分を愛してくれる親をありがたいと思いつつも、その愛が息苦しくなったりしないんだろうか…努力と忍耐と愛情の、ものすごくいい話なんだけど少し引っかかった私なのでした。

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Comments

緑さん、こんにちは。
今の私たちの生活には「歯を食いしばって・・・」なんて事は少なくなってしまったように思います。
このことが、社会を不安定にさせ、粘りのない人間を生んでいるように感じました。
親の願いを子どもが叶えるというのは、すごく単純明快でシンプルなこと。
情報の氾濫や、個人主義が進んでしまうと、やれ押しつけだ、自由はどこにあるんだ、などど息巻いてしまいますが、子どもの人生に親が責任を持っている。そういうことだと思います。
ま、少々、極端だとは思いますが・・・。

社会が成熟し、生活が快適便利になるのも、いいことばっかりじゃない。。。そんな風に思ってしまいます。
いろいろ考えさせられました。
ありがとうございます。

Posted by: zizi | November 06, 2006 at 08:50

泣けましたね~
久しぶりに泣けるドキュメント見たって感じです。
私も留学したときに両親の存在を本当にありがたく思いました。でも、丁さん家族のように「これしかない!」みたいな意気込みではなく、のほほーんと過ごしてしまいました。

私ももっと頑張っていたら、少しはマシな人になっていたのかなーなんて。

Posted by: めひじゃ | November 06, 2006 at 18:11

ziziさん、めひじゃさん、こんばんは。
コメントありがとうございました。
ずっとお休みしてたので、こうしてお返事を書くのもひさしぶりで、書いてるうちにどんどん長くなり、なんかもう自分でも何を書いてるのかわけがわからなくなってきました。すみません。

>ziziさん
確かに、昔ほど「一生懸命に頑張る」っていうことが美徳ではなくなった気がします。何でも軽くさらっとやってしまうことがカッコいいみたいな風潮があるような。
人がいろいろな価値観を持つようになり、かえってややこしく生きにくくなってる中で、このお父さんは「子供にバトンを渡すために少しでも長く走る」と言い切りそれを実行して来た、生き方に迷いがなくて美しい、そのことが視聴者の心を打ったんだと思います。
お父さんのこれほど壮絶な頑張りを見せられたら、娘さんは他の道に進みたくなっても言い出せないんじゃないかと思いましたが、うーん、私なら「お父さんがあれほど私のために働いてくれてるのにその想いを無駄にしちゃいけない」と、他の道に進みたいことを伝えると思います。で、父もわかってくれそうな気がする。
この親子もたぶんそう。たとえ誰かが倒れたり、娘さんの進路の変更があったとしても、何年かかってもみんなでやり遂げたろうなと思わせる強さを感じます。
ziziさん、こちらこそありがとうございました。お返事書いてるうちにいろんなことを考えました。

Posted by: | November 07, 2006 at 23:53

>めひじゃさん
私も泣きました〜。同じシリーズの「小さな留学生」も好きで、ネットをうろうろして昔の放送分も見直したりました。この番組の感想を書いたblogもほんとに多かったです(ココログだけで60件も!)。涙した人がたくさんいたみたいですね。
そうか、めひじゃさんも留学生だったんですよね。外国で暮らして、そのうえお勉強までするのはすごく気力と体力の要ることだと思います。「のほほーんと」っていいな。私なんか同じ日本なのに嫁に来ただけで環境の変化でどっと疲れて暗くなってしまいました。
「もっと頑張っていたら少しはマシな人間に」って、英語ができて、自分の稼いだお金でコンサや中華芸能も楽しめて、話題が豊富で楽しそうなめひじゃさんって充分すごいと思います。

Posted by: | November 08, 2006 at 00:16

緑さん
久しぶりにpc開いたら緑さん更新しててビックリしました。
私も中国のお父さん見ましたよ、
いつも空港の手前の駅で降りなきゃいけなかったり、
涙するとこも沢山ありましたね。
でもお嬢さんを昔に勤めてた職場に連れて行った時皆さんがとても優しかったり、
お父さんの人柄がすばらしいんですね、
お嬢さん無事にお医者さんになれて本当に良かった、離れててもいい家族だな、、

Posted by: 0325 | November 10, 2006 at 22:22

0325さん おひさしぶりです♪
立ち寄って下さってありがとう。
空港の駅って不法滞在の人が降りれないんだね。知らなかった。一つ手前の駅で見送るお父さんも、泣き顔を見せたくないので背中を見せたままで別れる娘さんとお母さんも悲しかったです。
そうそう、お父さんはいい人なんだろうなと思いました。貧乏も苦労もしてるけど、恨みごとを言わないのがすごい。
ハッピーエンドでよかったです。私も頑張ろう!って気持ちになりました。アメリカに渡って、娘さんが洗練されて美しくなってるのにはびっくりでした。

Posted by: | November 11, 2006 at 22:38

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